憧れのサナトリウム
2017年6月26日
今回、アジア選手権が行われたのは中央アジアの真珠と呼ばれる湖、イシククル湖。
湖の円周が700km、面積約6300㎢。琵琶湖の9倍もあるというから驚きです。首都ビシュケクから車で4時間、道路敷設工事を横目にイシククルへと向かいます。なんとこの建設工事には中国が援助をしているそうです。確かに、湖の彼方には7000m級の山脈、天山山脈が聳え、その向こうは中国。
宿泊先は「サナトリウム・キルギズスコイェ・ヴズモーリェ」(キルギスの渚)。
待ってました!のサナトリウムです。
「サナトリウム」と言えば、大昔、学生の頃にロシア語の教科書に出てきた単語。労働者が夏休みに組織からバウチャーを貰って「サナトリウム」でバカンス…。ああ、ソ連なんてとっくに終わったけど、一度行ってみたい!そんな想いでモスクワで働いていたころ、現地のツアー会社に頼んで予約をしようとしたのですが、「あそこはホテルじゃなくて健康増進施設ですから…」となぜか断られてしまった次第です。
ちなみに、ハバロフスクでロシア国営企業職員をしていた当時は、ロシアの経済状況悪化の為、バウチャー&サナトリウムバカンス制度はとっくに廃止されており、サナトリウム・デビューは延期に。
そして、堀辰雄の「風立ちぬ」。
ヒロイン節子が肺病(!)を患って滞在するのが日本語版「サナトリウム」。ソ連の健康増進施設ではなく、もうこれは、治療施設です。
ポール・ヴァレリーの詩の一節。不治の病に苦しむ美しい恋人、軽井沢の自然、煩悶、愛と死。文学的すぎる要素てんこもりのこの作品、実は結構好きだったのです…。今じゃ文学とは遠く隔たった、ヴァレリーとも肺病とも無縁のおばさんですが…。
そんな妄想いっぱいにたどり着いた本物のサナトリウム、やはり、健康増進施設でした。ちなみに1泊2000ルーブル(約4000円)。
1階には温室植物園があり、室内ですが緑の木々が鬱蒼としています。マッサージ、温浴施設、ヘアサロン、ネイルサロン、サウナにプール。
薬局を併設したハーブティ・カフェもあります。お部屋には白いガウン。中庭には、アイボリーのカーテンの下がる休憩スペースが。白いマーガレットが咲き、乙女な空間です。(微妙に節子テイストね)
でも、なにより素晴らしいのは、白樺並木続くサナトリウムの庭から15分程歩いたところに広がるイシククルのビーチ!
透明な湖水は寄せては返し、水平線のかなたに白く輝く天山山脈。ブルー・グリーンの水とのコントラストは最高です。
ひとけのない砂の上に座り水辺を眺めているだけで、力が満たされていきそうな湖畔。
夜には銀色に輝く流れ星が見えました。日焼けが気になる私ですが、今回はもうここでずっと夏を過ごしたいくらいです。
しかし、「風立ちぬ」するには太陽が眩しく、さすがの節子も日焼けしたビキニ姿のギャルになってしまうかも。
もしも、人と違うバカンスが過ごしたいなら、ぜひイシククル湖へどうぞ。
道路工事と空港建設が終われば、この一帯は観光客が訪れ、すっかり変わってしまうかもしれません。
サナトリウム・キルギズスコイェ・ヴズモーリェ公式サイト
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