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第21回ウクライナ避難民の方によるウクライナ家庭料理教室★チキンキエフ

2024年6月25日

弊社は、ウクライナ避難民の方に、家庭料理を教えて頂くプロジェクト(ロシア語通訳付き)を行っております。

  

日本でなかなかお仕事の見つかりにくい、日本語の分からない方、中長期的に日本に滞在せざるをえない方、周囲に日本語の話せる方やサポートが少ない方を優先し、報酬ありの「お仕事」として来て頂いています。

 

チキンキエフ。ウクライナの首都の名を冠する料理ですが、旧ソ連圏となぜかフランスでは有名な鶏肉料理です。

 

鶏むね肉のカツなのですが、中にハーブ入りバターが仕込んであり、ナイフで切るとスルスルとバターソースが中から出てくる、工夫を凝らした一品。確か、ハバロフスクで働いていた1998年頃、街のレストランで食べたのが最初でした。あの流れ出るバターの感動は、表現しきれない…。肉料理のマエストロよ。夢枕にチキンキエフが転がってるのよ~!

 

「ヴェーラさん、お願いします!チキンキエフ作りましょうよ~!」「…わかりました。チキンキエフですね…ちょっと私も勉強してみます…」浮かないカオのヴェーラさんを説き伏せ(その理由は後でわかった)、おなじみ家庭科のスペシャリストの皆様と初のチキンキエフの会です。

 

まず、材料。鶏むね肉はケチらず、どっさり用意。

 

 

ディルとバターで、鶏むね肉に巻き込むハーブバターを作ります。棒状にまとめて冷凍庫で寝かせましょう。

 

 

お次は、鶏むね肉を薄く切り、しっかり叩き加工しやすいようにします。「肉は大きいパーツと小さいパーツが出来るようにしましょう。しっかり均等に叩いてください」いつになく、ヴェーラさんも真剣な表情です。ガンガン臆さずのし棒で叩きます。「結構大変~!」「ヴェーラさん、これくらいでいいですか」「まだ駄目ですよ。もっと均等に…見ててください」ガンガンガン。ひえ~!近隣の住人はここで部屋の工事をしてると思うかも。

 

 

出来たバターです。

 

 

このバターを肉にくるんでいきましょう。「バターが絶対にハミでないように!小さい肉でバターをくるむ。くるみきれない場所に大きな肉をあててしっかりくるんで」「うーん」「うまく包みきれない…」ウクライナ料理の奥義は、成形をしっかりするってことかなあ。前回のピロシキも成形が大変だった。しかし、我々は戻れない…。前進あるのみよ。

 

 

小麦粉と卵とパン粉を付けます。「卵液とパン粉を付けたら、またもう一度卵液とパン粉をしっかりつけて」「2回、ですか」「そう、これでさらにバターが流れないようにしっかり成形するんです」そうなのね…。チキンキエフ大好き~!なんてちゃらけたコト言ってたけど、これって相当手の込んだ料理だったのね…。だからヴェーラさんも浮かないカオだったわけだ。

 

 

では、いよいよ揚げに入りますか。

 

 

 

「オーブンで焼いて衣をカリっとさせます」「まだ、工程があるんですか!?」「ここで焼くのが大事なんですよ」チキンキエフ、本当に凝った料理だったんだ…。

 

 

 

そして神々しくも美しい、チキンキエフの完成~!夢みたい!やっと逢えたのね…。

 

 

ごっついチキンカツからハーブバターが…。これこれ!皆さん、お味はいかがでしょう。「バターと胸肉が合いますね」「揚げ物なのにぺろっと食べられちゃう」ディルの香りとバターのコンビネーションだけでも、うっとり。もも肉のような脂もなく、衣もカリっとクリスピーな風合いが素晴らしい。「今回は私も緊張しました。うまく作れるかどうか不安でしたから…。これはレストランのメニューで、家庭では殆ど作ることがありません。上手にできて、ホッとしました!」とヴェーラさんのコメントでした。これは、確かにかなり大変なお料理です!気楽にお願いしてすみません…。

 

 

今日は、家庭料理ならぬレストランメニューで重労働でしたが、夢のチキンキエフ降臨です。「舌があればキエフまで行ける」(尋ねさえすればなんでもわかる)という旧ソ連の諺があるのですが、「舌があればチキンキエフが食べられる」(尋ねさえすれば、チキンキエフを作れるようになる)なんて新しい諺が出来た1日でした。

 

 

参加者の皆様、大変お疲れ様でした。

 

 

 

株式会社日露サービス

代表取締役社長

野口久美子

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