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戦争開始から初の世界大会 トルコで2022アームレスリング世界選手権

2022年10月22日

10月15日、トルコアンタリヤ地方ケメルで第42回アームレスリング世界選手権が開催されました。アンタリヤは先史時代から人が住み、ビザンチン帝国にオスマントルコ、豊かな歴史と海に恵まれた観光地。トルコのリヴィエラと称されています。

 

アンタリヤ湾の夕暮れ  

 

ブルーグリーンのビーチ

 

アンタリヤの旧市街

 

弊社では、創業前の2015年からこのスポーツのグローバルな発展を支援しております。中央アジアが主導するアジア連盟の公用語がロシア語と英語であるため、毎年アジア選手権と世界選手権の2回の通訳、翻訳等のコミュニケーションサポートをさせて頂いております。興味深いコラボレーションも7年目になり、今回、アジア連盟の会議では私も議題の投票権を付与されました。通訳者としてだけでなく仲間として認めて頂き、大変有難い事です。

 

 

今回は、ウクライナ侵攻以後、初の世界大会。ロシアとベラルーシは、今回の大会への参加を禁止されました。ロシアは、アームレスリングの強豪国ですが、今後しばらく姿を見ることはないでしょう。他方、戦渦の中、ウクライナは参加を実現させています。16日に行われた世界連盟会議では、ウクライナが提案したスローガン “Stop the war in the whole world!”(全世界で停戦を!)が採択されました。

 

 

風光明媚なアンタリヤは、動員を逃れたロシア国民の逃げ場となっています。もともと、ロシア人のバカンス先として人気を博していたため、ロシア語の通じる宿泊施設が多く、今回私達の滞在したホテルも同様でした。ペテルブルク出身のある女性従業員は、ロシアの人々も皆辛い、戦争はありえないと話していました。

 

 

スポーツと戦争は関係ない、と言う人でも、今回、喜んでロシアに参加を促す国はありません。スポーツや文化が古今東西の国威発揚の道具にされやすいのは自明の理であり、ロシアに限らず、文化芸術やスポーツで一定の業績を上げる国が、それを考慮しない理由はありません。この戦争で多くの人々が死に続けている今日、これらを切り分けて考える必要はありません。

 

中央アジアの役員は、次の軍事侵攻の標的は我々かもしれないと恐れ、モルドヴァのスタッフは、うちはウクライナ人が沢山身を寄せてきている、これからも支援が必要だと険しい顔で語り、あのコロナ前までの明るい祝祭のような雰囲気は一転しました。

 

今回の戦争は、決して越えてはいけない一線であったことを、特に旧ソ連圏からの皆が確認し合う非常に辛い世界選手権でした。指をくわえて戦争が終わるのを待つしかできないという不甲斐なさを、私達は味わうしかないのです。絶望と無力さを分かち合う時が、このアンタリヤで過ぎていきました。

 

 

株式会社日露サービス
代表取締役社長
野口久美子

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