麗しのユジノサハリンスク
2017年4月6日
サハリン…それは最果ての地…寒いし暗そうだし、チェーホフ「サハリン島」よろしく陰惨なイメージ。
正直、私も一度も訪れたことはなく、また進んで行こうなんて思ったこともありませんでした。住み慣れたハバロフスク、都会の暮しに東京と差異を感じさせないモスクワ、エレガントなペテルブルク、火山の美しいカムチャツカ。どうして、わざわざ日本に近くて、なんとなく治安の悪そうな場所に行くのかしら…?(サハリンの皆さん、すみません)
ところが、とある事案の協定締結でとびこむはめに。結論から申し上げます。大変興味深い土地でした!
ユジノサハリンスクの最大の魅力は、3点あります。
まず、我が国の地であった頃の名残が散見されること。写真の和風の建築は現在のサハリン州美術館、昔の樺太庁の建築です。日本式建築がかくも美しく、そこにあるだけで空間を優美にするとは、感じ入ったことがありませんでした。成田空港を飛び立ち、たったの2時間。乗客もエネルギー関係企業で働くアメリカ人たちが多く、ロシア便でこれだけアメリカ人が多い航路も珍しいでしょう。改めてロシアの東部であることを感じます。航路の9割は、日本の上空を飛び、あっという間に到着です。
そして、北方領土の存在を目の当たりにする点。日露関係の焦眉の問題ですが、この4島で日露関係はずっとややこしいままです。朝起きて、ニュースの天気予報を見てると、「サハリン州今日の天気、ユジノサハリンスクプラス2度…イトゥルップ(択捉島)プラス3度…」。航空写真の様に、ロシア領とされるイトゥルップ(択捉島)が。へえ、こんな感じなのね、と感慨深いものがあります。もし日本に返還されたら、はじめは全国ニュースの天気予報で紹介されそうです。また、今回、サハリン農業省を訪問し、大臣にお目にかかりました。通されたお部屋は「イトゥルップの間」。表を歩けば、地方銀行「バンク・イトゥルップ」もあります。そうはいっても、本店住所はユジノサハリンスク。択捉島が本店ではないのです。オフィスは択捉島にもあります。
さらに、美味しいシーフード。今回はシーフードのスープやグリルを頂きました。
ロシア料理と言えば、野菜と肉を多用し、サワークリームがついてくる、ボリューム満点のお料理。ところがここは一味違います。写真の可愛い魚型のパイの下には、いくらの混じったホワイトソースとサーモン。ソ連時代からあるサハリンのお料理です。
日本からちょっと遊びに行くのに、なかなか楽しい場所。次回は仲良しのお友達を誘って、サハリン・バカンスでも…と思っているところです。
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