日獨旬刊社 異文化理解と協力のスピリット
2022年2月15日
1944年に他界した祖父、池田慶四郎は、都内でドイツ事情の書籍を出版する出版社をやっておりました。
その名も「日獨旬刊社」。
銀座4丁目、教文館ビルに会社はありました。銀座のど真ん中、今ではイタリアブランドの旗艦店が入っています。出版部と調査部があり、当時のドイツの論文の翻訳書やドイツ社会に関する書籍を出版し、ドイツ事情の分析をしておりました。
一方、祖父は決して資産家ではなく、この出版社をドイツ留学経験のあった大叔父、池田林儀と経営していたとは考えにくいのです。対ドイツ調査を目的とし、ドイツプロパガンダを担う国策出版社であったと考えるのが、自然でしょう。日本の敗戦を前に、祖父が他界したのは、ある意味、幸運なことだったのかもしれません。もし、フィリップ・K・ディック「高い城の男」の世界(日本とドイツが第2次世界大戦で戦勝国になった設定のアメリカの小説)だったら、今頃大きな研究所にでも変貌していたのでしょうか。
当時の日本とドイツの政治的時代背景はともかく、多くのドイツの著作がこの出版社を経て日本社会に現れたわけですが、改めて、翻訳文化の深さを感じ入ります。私自身、翻訳者でもありますので、外国語で書かれた文書を日本語にする面白さと苦しさについて言及するならば、枚挙にいとまがありません。また、しっかりした外国語で書かれたものを読解する作業は、彼らの思考の在り様をなぞり、時に彼らの着眼点にはっとさせられます。彼らのレトリックが、母国語に影響を与える事もあります。
外国語の情報から、新たな素晴らしい出会いや長きにわたり影響のある展開があり、新たなプロジェクトが実現することもあります。外国語を知る者としての喜びは、ここに在ると言っても過言ではありません。母国語以外にひとつ、理解できる言語を持つことは生涯の財産の一つであると、断言できます。
日獨旬刊社は、残念ながら1945年の我が国の敗戦と共に消えてしまいましたが、日本と外国を言語で結び合い、異文化理解と協力を促進するための尽きることないスピリットは、私共株式会社日露サービスにも、確かに受け継がれております。
株式会社日露サービス
代表取締役社長
野口久美子
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- 10/1付東京新聞朝刊とWEBでウクライナ避難民の方による家庭料理教室について報道されました
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