年末の御挨拶 ガザの女性の想い出
2023年12月22日
平素より弊社を御愛顧頂き、誠に有難う御座います。
2023年もまもなく終わりを迎えようとしております。昨年に続き、国際情勢の安定しない1年でございました。特に、ロシア語圏においては厳しい1年となり、旧ソ連からの移住者が多く、ロシア語話者の多いイスラエルにおいても、ハマスとの戦争が勃発し、ガザ地区の多くの市井の人々が犠牲になっていることは非常に残念でなりません。
会社を設立した当時、ガザ地区でいちご栽培をやっているパレスチナ人女性とマイクロ投資案件のお話合いをしたことがございます。彼女は日本政府の取り組む「平和と繁栄の回廊」なる日本・パレスチナ・イスラエル・ヨルダンの経済プロジェクトの一環で、来日されていたのです。パレスチナの経済的自立を促進するプロジェクトです。ロシア語話者の多いイスラエルとの農業交流を考えていたのですが、気候の同じパレスチナのジェリコ農産加工団地の状況を知りたく、日本外務省の主催するセミナーに参加したのでした。
ガザ地区ではいちごの生産が可能で、欧州にいちごを輸出しており、なにより、女性に制約の多いアラブ社会で、この聡明な女性が頑張ってらっしゃったことが今も大変強く印象に残っております。自前で水耕栽培システムを開発し、実験段階でしたが、事業の確立に意欲を燃やされていました。あの時、私にはまだガザ地区での事業をする余裕がなかったことが悔やまれます。つくづく、外国との文化交流は、双方の合意と資金さえあれば比較的実現が簡単ですが、経済交流は、持続性のあるしっかりしたレベルまでもっていくのは非常に難しいことを実感しております。
私がいちご生産にこだわる理由は、いちごは平和な街でなければ育たないからです。ミサイルの飛んでくる場所では、いちごの生産はできません。戦争になれば嗜好品のようないちごではない作物の栽培が奨励されるでしょう。他の作物と異なり、赤い姿が可愛らしく、甘く、品種のバラエティがあり、いちごは笑顔をもたらすフルーツのひとつ。栽培もシンプルで、りんごや梨のように収穫までに長い時間がかかりません。
来る2024年は、平和が訪れ、希望に満ちた素晴らしい1年となり、皆様と一緒に楽しいプロジェクトが実現できることを切に願っております。
どうぞ良いお年をお迎えください。
株式会社日露サービス
代表取締役社長
野口久美子
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