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ロシアの農業政策

2017年7月2日

 ロシアはエネルギー大国ではありますが、農業大国でもあります。
2016年には小麦の輸出額世界1位、またライムギ、オオムギ、燕麦、サトウダイコン、蕎麦の生産量は上位です。
ロシアの農業の活性化は2000年代に入ってからその兆しを見せ、2014年の欧米の経済制裁が始まると、「輸入代替品」の言葉が流行りだし、欧米から輸入できなくなったものは、自前で生産する傾向が、農業に限らず、広まるようになりました。
 
 ロシア政府の作成したプログラム「2017年から2025年の農業発展の連邦学術技術プログラム」が、今年1月に発表されました。
このプログラムには、今のロシア農業が抱える問題解決の方策が見えるのですが、ひとつに、ロシア製の高品質の種子の開発があります。
1990年代、ロシアでは自国での種の研究開発が停滞しました。ここ数年、私はロシアで植物工場のプロジェクトをマネージメントしていたのですが、厳しい植物検疫もあり、種をどうするかは結局ロシア側に任せる他ありませんでした。最終的には、適した種はオランダ企業を通じ入手することになりました。ロシアと種、これは彼らの大きな課題です。このプログラムでは、まさにこれを解決することになります。
実際、2016年、クラスノダールというロシアの有名な農業地帯では、トウモロコシの種は、完全に国産に切り替わりました。
 

 また、このプログラムでは、農作物の競争力の向上と安全性を目的とした、農産複合体と研究開発施設の協力強化や農業専門家の育成を目指しています。
…ということは、現在のロシアではこういった側面が弱いということ。
まだまだ農産複合体での生産現場に研究が生かせず、専門家も足りていないのです。
 

 他にも、2025年までに最低12種の新種の芋を開発する、最低8種のハイブリッド種のサトウダイコンを開発する等、課題を掲げています。
たったの8年間ですべてクリアできるとは考えづらいのですが、政府の強い意思を感じます。
 

 一方、ロシアの農作物を日本に輸出したいという意向が、最近のロシアには見られます。日本人の嗜好に合う農作物が生産できるのかは分かりませんし、個人的には、断然日本の野菜果物の方が口に合います。しかし、驚くのは、つい3年前から経済制裁を受け始め、昨日まで輸入してきた商品が消えたというのに、それに代わるものをひねり出し、今度はそれを外国に売ろうとするロシアの非常にアクティヴな姿勢です。こういった人々と渡り歩くには、どうしたらいいのでしょうか。我々もまた、持ち前の謙虚さを一旦おき、自信たっぷりに堂々と向き合うしかありません。
 

 農業一つをとっても、国民性の違いを感じます。
 

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