598,000円
2017年5月16日
都内のとあるレストラン。丁寧な接客が素敵なウェイターさんを呼び、お勘定をお願いした。
「有り難う御座います、こちらでございます」
黒い小さなフォルダーをそっと開くと、59,800円。あら、4人であんなに食べてこれだけ?結構安かったわね…と思いつつ、もう一度よくよく見る。
598,000円
ごじゅーきゅーまんはっせんえん
「クミコ?どうしたの?それ頂戴」
目の前に座るロシア人クライアントが、さっと手を出す。ここは躊躇なくにっこりと渡す。彼女は一瞥すると、自分の夫に渡し「払っておいて」と一言。富裕層と呼ばれて間違いない、その男性は、黒いカードを挟み、今度は私に。
「クミコ、これ渡してよ」
「ええ、ちょっと待っててね」
すっと手をあげ、例のウェイターさんにこともなげに「どうぞ」&上品な微笑。
貧乏性の私は頭の中では別のことでいっぱい。すなわち「それにしても、一体何を食べたのよ?」
自分も食べておきながら、まったく記憶がない。神戸牛は頂いたけど、コースは30,000円。
しかしその牛には戸籍があり、指紋代わりに鼻の頭をくっきり押した戸籍も見せられた。私たちの胃袋の中に入る、その肉牛の生前の名前はサチだかサクラだか、そんな名前の持ち主であることもシェフは語った。3代前までの家系図(?)まで見せて頂き、彼女が正統な肉牛である証拠が燦然と輝いていた。
さっちゃん(サチかサクラだから)、本当にお嬢さまなんだねえ…。でも、さっちゃんだけであの金額にはなるまい。
ふと、思い出すと、クライアントは途中で赤ワインを一瓶オーダーしていた。あんたも飲みなさいよ、とじゃぶじゃぶ注がれたはいいけど、もうお腹いっぱい、グラスの半分程度残してしまった。恭しく上品なソムリエが、もうよろしいんですか?チーズでもお持ちしましょうか?としつこい。いいえ、もうお腹いっぱいで、と断ると、残念そうにグラスを下げた。
やっぱり、あのワインが値が張ったのね。
それにしても、そんなに高額で取引されるワインを、1ミリの有難味もなく残すなんて、私の味覚はやっぱり一瓶498円のカリフォルニア・ワイン仕様なのね。
このサイトを訪れて下さる皆様は、やはり高級ワインの御味なんてお分かりになるのでしょうか。
物の価値をはかるのは、つくづく、難しい。
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