メルセデスで富士山
2016年11月1日
巷の「ロシア人」に対するイメージは、あまり、よろしくないことがある。やたら金持ち、怖い、強硬、大酒飲み、女性は綺麗だけど年を取ると樽になる…。まあ、強硬なところもあるのは否定しません。大国意識があるのでしょう。また、日本とは教育の内容が相当異なる気がします。
ある仕事で、ロシアからの富裕層の夫婦をアテンドしたことがある。相当、お金持ちらしい。やだなあ。経済的格差は思想にも影響を与えるわよ。あたしみたいな東京下町の主婦とは、絶対話が合わない。それだけは言える。
そんな暗い気持ちで成田空港の到着ゲートに立って、彼らを待った。果たして現れたのはごく普通の感じの女性と、愛想の無い男性。二人とも中年だ。お待ちしてました、私が今回随行しますノグチです…と言った瞬間、彼女はがばっと身を寄せ、あなた、ロシア語上手いわね!いろいろ頼みたいことがあるの!なによ、いきなり。まあ、とりあえずここはオリエンタルな笑顔で「有り難う御座います。では後ほど伺います」。ロシア人の頼みごとに即答は厳禁、それは私の長年の経験から言えることだった。ロシア語上手いね、もたいていは御世辞ととっておく。
用事の合間に浅草寺に立ち寄った。奥様は「ここって願いをかなえてくれるんですって」。「お賽銭をいれて願をかけてくださいね。おみくじといってあなたの運勢を知るお告げも入手できます」「やるやる!」。しかし、二人ともクレジットカード生活、現地通貨など滞在6日目にして持ってもいない。ウーン、じゃあ、と100円玉をあげておみくじをひかせた。境内に上がり、今度は詣でたいという。ウーン、お賽銭がないのか。じゃあ、と100円玉を握らせると、二人は恐縮した風に「おお、あなたに払わせるなんて!」「だって現金ないでしょ」「じゃあ、これ!」なんと彼女は400円の代価に100ドル札を差し出した。いーってばー、いいからいいから、のお決まりのやり取り。いつから日本円はこんなに強くなったのよ。しかも100円玉に加え、彼らは「外貨も受け付けてくれるよね」とユーロセントも賽銭箱に放り込んでいた…。浅草寺って外貨OKなのか。
これに始まり、彼女たちの意識を垣間見る出来事は増え、折しも滞在もあと数日と言う段階で「富士山に行こう」と言い出した。新宿からバスがでてるのよ、と教えてもあまりい顔をしない。「ねえ、久美子、車でいきたい」「バスじゃなくて?便利ですよ」「そう。チャーターしてくれる?」「もちろん…」ホテルに頼むと、なんとベンツかBMWを用意すると言う。往復20万円。彼女にその見積もりを見せると「Sクラスよね?ならOKよ」。
かくてある晴れた日の朝、ベンツをかっとばして富士山五合目まで行くことに。彼女たちはおおはしゃぎ。ところが、聖地富士山は…中国人の観光客でごった返している。「日本は富士山まで混雑してるなんて!」…まあ、間違っていないけど。「さあ、食事に行きましょう。美味しいもの食べたいわ。案内してくれる?もちろんあなたも一緒に食べましょうよ」こういう時は遠慮は無用だけど、やっぱり気を遣うわね…。いいわよ…じゃあすき焼きなんてどう?美味しくてよ…ふぐも素敵よ…。そんな訳で体重はガッツリ増えてしまった。あーん!!
ロシア人の金持、にはあまりいいイメージがなかったのだけれど、一つ言えるのは、本当の富裕層はまさに金持ち喧嘩せず。彼らは非常に日本人に敬意を払い、気を配る人たちだった。こういう人々に会った時は、気後れせずに堂々と。そして我々も、色眼鏡で見ず、まず敬意を払って接すること。ナメた態度に出られないよう、まず先手を打つことね…。これがなかなか難しいんだけど。
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